頑張りが形になる達成感

長和町で昨年、独立就農した干川有吾さん、優衣さん夫妻。いずれも非農家出身だった二人が出会ったのは有吾さんの出身地、北海道。タマネギを大規模に栽培する農業法人でした。

道内の大学で農学部から大学院に進んでいた有吾さんは、就職を見据え、農業現場を体験しようと働いていました。「毎日がむしゃらに働き充実感があった」と振り返ります。

一方の優衣さんは、上田市出身。小学校時代に体験したアイガモを利用した水田耕作が印象に残り、大学は農学部を選び、山口県へ。卒業後、食品会社に就職したものの、違和感が拭えず、自分に合った農業の姿を求め、各地の農家・法人でバイト生活を送っていました。

「自分の責任で一から作物を育て、売る―頑張りが形になる達成感」。二人が描く農業の魅力です。実際に何を、どこで、つくるのか―。避けがたい気象や市況からの影響を和らげようと野菜に目を付け、場所は今後の子育てなどを考えて「義実家に近い方が何かと都合がいいだろう」（有吾さん）と上田市周辺を選びました。

一足先に優衣さんが地元に戻りＪＡ信州うえだの子会社・信州うえだファームの研修生に。その後、有吾さんが合流して研修を重ね、そろって独立にこぎ着けました。二人とも長和町の認定新規就農者で、有吾さんがブロッコリーを中心とした露地野菜、優衣さんがアスパラガスを中心とした施設野菜を担当しています。

栽培技術は実地に研修したとはいえ、自立した農家として面倒を見る、となると勝手が違うと思うこともしばしば。それでも出荷した製品を購入した消費者から反応が届くことも。デザイナーに頼んで農園の専用ロゴも作りました。最終製品まで責任を持つ理想に向けて夢を膨らませています。